動物を飼うには、家族の一員として最後まで面倒を見てあげるという責任があります。
それができないのであれば、最初から動物を飼うべきではありません。
しかし、やむを得ない状況で手放さなくてはならないときには、友人、知り合いなどに相談し、面倒を見てくれる人を捜してください。
それもかなわない場合には、地元の自治体(保健所・動物指導センター・動物愛護センターなど)にご相談ください。
ペットを捨てるのは犯罪です
人に飼われている愛護動物を「捨てる・放す・逃がす」行為は犯罪です。
「動物の愛護及び管理に関する法律」により、愛護動物を遺棄した場合には100万円以下の罰金に処されます。
ペットは大切な家族です。
・ 終生飼養に努めましょう。
・ むやみな繁殖はやめましょう。(避妊・去勢手術を行いましょう)
・ 見かけたら最寄りの保健所又は動物指導センターまでご相談下さい。
外来生物について
私たちの住んでいる日本には日本の生態系があります。
その生態系はその地域毎の気候、風土に適応して微妙なバランスで成り立っています。
その地域の生態系にすむ動植物たちのことを固有種といいます。
固有種はそこでしか子孫を残すことができません。外来生物が定着、繁殖してしまうことによって固有種と競争が起こってしまいます。また似た生物の場合、交雑種ができることによって、固有種でなくなる可能性もあります。
その結果、固有種がいなくなり、生態系のバランスが崩れてしまいます。
他にも毒をもったり、人に噛みつくなどの被害をおこすものもあります。
また農作物の食被害、水産物の捕食による減少といった農林水産業への影響がでているものもあります。
外来生物によって野生動物に病原体を伝染させてしまう可能性もあります。
具体的な例としては、アライグマの野生化による農作物などの被害、ブラックバスの増殖による固有種の淡水魚の減少などが各地でニュースになっています。
外来生物の中でも自然環境に重大な影響を与えるものを侵略的外来生物と呼びます。
その一例がマングースです。
奄美大島や沖縄本島にハブの駆除のために導入されたマングースはアマミノクロウサギやヤンバルクイナといった貴重な野生動物を補食してしまって問題となっています。
しかしこれはほんの氷山の一角にしか過ぎません。日本で確認されている外来生物はなんと約2,000種にもわたります。
外来生物法の目的
外来生物の被害を予防するために作られた外来生物法の三原則は以下の三点とされています
・ 入れない~悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない
・ 捨てない~飼っている外来生物を野外に捨てない
・ 広げない~野外にすでにいる外来生物は他地域に広げない
外来生物法はこれらを守るために制定された法律なのです。それでは具体的にはどのような規制があるのでしょうか?
まず、外来生物の中から被害を及ぼす可能性があるものを特定外来生物として指定します。特定外来生物の一覧は参考リンクの環境省のHPにあります。そしてこれらの動物の輸入、移動、飼育、管理などについて規制するというものです。特定外来生物は以下のことが禁止されます。
・ 飼育、栽培、保管および運搬が禁止されます。
・ 輸入は原則禁止されます。
・ 野外へ放つ、植えるおよびまくことが禁止されます。
これらの動物の飼育をするには研究、展示、教育、生業の維持などの目的に限定されています。一般的にペットとしての飼育はできません。飼育の際には手続きをとって許可を得て、逃げ出さないような適正な管理施設においてマイクロチップによる個体識別をすることが必要です。これらの法律に反して飼育や輸入などをすると罰則があります。
もしこの法律の制定前から特定外来生物を飼育している場合はどうでしょうか?その場合には許可を取って、適切な管理施設を持って逃げないような対策をとった上で、マイクロチップなどによる個体識別の処置を講じなければいけません。その場合、その個体一代だけの飼育だけが許可されます。(繁殖は禁止されています)
固有種をはじめとする生態系はその地域だけの未来への大切な財産です。私たちの子孫のためにも大切に守りましょう。ペットの多くも外来生物です。おうちに迎える時には一生世話できるかをよく考え、最後までしっかり世話をしましょう。途中で放棄して捨てたりしないでください。また逃げ出したりしない様に十分な対策をしましょう。
参考
もうここまできています。マングースとアライグマ
「マングースついに本土上陸、生態系崩れる危険」本年6月に突然にこのようなニュースが報道されました。
国内では沖縄本島と鹿児島県・奄美大島だけに生息するとされていたマングース(ジャワマングース)が鹿児島市で確認されたと、鹿児島県より発表されたのです。
実際にはかなり以前にもマングースが本土で生息確認がされたことはあったようですが、今回はその後も数頭捕獲されているので定着して生息していると考えられます。ペットとしての飼育は禁じられていることから、船便に紛れて侵入したのではないかと疑われていますが、侵入の詳細は不明です。
マングースは主に西アジアやインドに生息する小型の肉食獣で、奄美や沖縄ではハブを駆除するために持ち込まれました。これが野に放たれたために問題となっています。
野に放たれたマングースは自然繁殖を繰り返し次第に生息数を増加させてきました。養鶏場のニワトリを襲うなど畜産業に被害を与え、奄美大島のアマミノクロウサギ(天然記念物)や沖縄のヤンバルクイナ(天然記念物)などの希少種の生息もおびやかしつつあります。また人畜共通感染症のひとつであるレプトスピラ菌の保有率が高いという調査結果もあります。
このため環境省は、2000年から奄美大島や沖縄県のヤンバルクイナのすむ森でマングースを駆除しています。
ペットの野生化も深刻です。
北米産のアライグマは幼獣の時は人間になついてかわいいものの、成獣になると気が荒く凶暴になります。
そのためペットとしては飼いきれなくなったアライグマは、飼い主に持て余されて次々と野山に捨てられ野生化しました。
アライグマは1回に3~6頭の仔を生み、日本には天敵もいないことから恐ろしい勢いで増えてゆきます。
野生化して増えたアライグマは農作物を荒らすだけではなく、キツネやタヌキ、イタチ類などの在来種との競合や野鳥への被害など、生態系全体への影響も大きく問題となります。
また、アライグマ回虫など人畜共通感染症を媒介することも懸念されます。
北海道、東京、千葉、神奈川、埼玉、岐阜、愛知などでは有害獣としての捕獲がすすんでいます。
埼玉県内での捕獲数は、平成18年度に450頭だったものが、19年度に935頭、20年度は1684頭と激増しています。
マングースもアライグマも人間の都合で輸入され、それが自然に放たれてしまったために問題となっています。
外来生物法の施行によって新たに野に放たれる動物は少なくなったかもしれません。しかしアライグマは環境に対して非常に高い適応性を持つことから、国内での繁殖、生息域の拡大が進んでしまっています。
現在各地で対策として捕獲などが行われ、徐々に捕獲数が減少に向かうなど対策の効果が現れてきている地域もありますが、十分な対策が行われていない地域も少なからずあるようです。
急激な広がりを見せてきた経緯からみても、根本的な解決にむけて、特定の自治体にとどまらず広域に対策を進めることが必要であると思われます。
マングースやアライグマのような動物を新たに生み出さないために、安易な外来動物の輸入飼育は慎み、飼育した動物については責任を持って終生飼育をしていただきたいと思います。