2013年に国内で初めてSFTSに罹患した方が確認されてから、現在までに500名を超える患者が西日本を中心に確認され、死亡例は 75名に及びます。
先日も静岡県で発生の報告があり、今後東日本において感染が拡がることが懸念されています。
〇SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?
ブニヤウイルス目フェヌイウイルス科SFTSウイルスによって起こるマダニ媒介性人獣共通感染症です。SFTSウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染し、犬や猫だけでなく、人にとっても大変危険な感染症です。最悪の場合死に至ることもあります。本疾患は感染症法の第4類感染症に指定され、診断した医師による届出が義務づけられています。
〇感染経路は?
ウイルスを有するマダニに咬まれることにより感染します。またSFTSウイルスに感染し、発熱、消化器症状を呈しているネコやイヌに咬まれたり、血液などの体液に直接触れたりすることで、SFTSウイルスに感染する可能性があります。
〇SFTS発症動物について
国内外においてSFTSウイルスに感染後、発症した動物の報告はありませんでしたが、国内で2017年に動物園のチーター2例のSFTSウイルス感染による死亡例が発表され、その後SFTSウイルスに感染して発症した犬と猫からヒトへの感染事例も発表されました。そしてこれ以降2019年7月までに猫120頭、犬7頭、チーター2頭でのSFTS発症例が報告されています。
〇ヒトにおける潜伏期間は?
マダニに咬まれてから6〜14日とされています。
〇ヒトの症状は?
発熱、消化器症状(食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛)が主症状で、ときに頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)が出現します。
〇治療は?
有効な治療法はなく、対症療法が主体です。致死率はヒトで20%、イヌで29%、ネコで60〜70%となっています。
〇ヒトに対する注意喚起
①マダニに咬まれないよう注意しましょう。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけてが要注意です。レジャーや農作業などで野山、草むら、畑などに入る場合は、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくして下さい。
②野生動物との接触は避けて下さい。また動物の死体等に接触することは控えましょう。
③飼育している動物の健康状態の変化に注意し、動物が体調不良の際には、咬まれたりなめられたりしないようにして、動物病院を受診してください。
〇愛犬・愛猫を守るための対策について
SFTSに対する特効薬はありません。
唯一の対策は通年のマダニ対策です。
詳しくは動物病院でご相談ください。
(参考文献)
国立感染症研究所HP:https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/sfts-idwrs/7415-sfts-nesid.html
厚生労働省HP:
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html
国立感染症研究所、厚生労働省健康局結核感染症課(2016):SFTSウイルスの国内分布調査(第3報).IASR,37(3):50-51