近年、良質なペットフード、様々な予防、飼育環境の向上に伴い、
寿命も延びています。
ペットフード協会による平均寿命の調査では、
イヌは14.29歳(小型犬は長く、大型犬になるほど短い傾向にある)、
ネコは15.32歳という結果がでています。
長生きすることは大変喜ばしいことですが、ヒトと同様に高齢化(※参照)に伴う
様々な変化もおこります。病気に関することの詳細な記述はいたしませんが、
日常生活において「歳のせい」だと思っていた行動の変化が、
実は違う原因であったということも多くあります。
そんな、ちょっとした変化を出来るだけ見落とさないようにしていただきたく、
注意すべき点や改善点などをご紹介します。
※犬猫の年齢はヒトに換算すると、
1年でヒトの20歳に相当、その後は1年あたり4歳ずつ増えていきます。
5年で36歳、10年で56歳、15年で76歳、20年で96歳に相当します。
皆様とペットとの幸せで快適な環境づくりの一助となれば幸いです。
もし、お宅のワンちゃん、ネコちゃんに当てはまることがあれば、
獣医師に診察や相談をしていただくことをお勧めします。
日常の変化と原因
イヌ
症状 |
主な原因 |
散歩に行くが元気がない、散歩の時間が短くなった、段差を嫌がる |
関節の痛み、爪が伸びすぎている、心臓病など |
食欲はあるが痩せてきた、水を飲む量が増えた |
糖尿病、腎臓病、ホルモン失調など |
遠くをボーっと見ていることが多い、夜鳴き、ウロウロと徘徊する |
認知症など |
ドライフードを嫌がる、口臭が強くなる |
歯周病など |
物にぶつかる、黒眼が白く見える |
白内障、角膜疾患など |
ネコ
症状 |
主な原因 |
爪研ぎをしなくなった、高い所に登らなくなった |
関節の痛み、巻き爪による痛み、心臓病など |
食欲はあるが痩せてきた、水を飲む量が増えた |
腎臓病、糖尿病、ホルモン失調(特に甲状腺ホルモン)など |
ドライフードを嫌がる、ヨダレが出る、口臭が強くなる |
歯周病、口内炎など |
毛艶が悪くなる、毛が固まっている、グルーミングをあまりしない |
全身的な体調不良の可能性 |
当てはまる症状があったら
上記に示した症状に当てはまるものがあった時は、
獣医師に診察や相談をすることをお勧めします。
・水を多く飲む症状が見られたら、1日の飲水量を3~5日間くらい
測っておくと診察の際、参考になります(大体でOK)。
・夜鳴きや徘徊などは、寄り添ってなだめ続けたりする方も多いようですが、
あまり我慢してしまうと飼い主さんが睡眠不足になってしまったり、
体調を崩してしまうこともあるので、無理をしないようにして下さい。
飼育環境の改善
・昇り降りが大変になってきたら、可能な場所は段差を無くしたり緩やかにする。
階段などは抱いてあげる。高い所が好きなネコちゃんには、
空き箱などを利用して登りやすい段差を設けてあげます。
・散歩の途中で疲れてしまったり、ヨロヨロするようなことがあれば、
介助用ハーネスを使ってサポートすることで、筋力の維持に繋がります。
・ご飯やお水を与える器は、少し高くしてあげることで、
下を向く姿勢をとらずに楽に飲食ができるようになります。
・視力の低下してきたワンちゃんには、要所に黄色のテープなどを
貼っておくと認識がしやすくなります。
・ウロウロと徘徊をするような行動が目立ってきたら、
ダンボールなどを利用してサークルを作り、その中で過ごさせることで
落ち着く可能性があります。