野生鳥獣の診療について市民の方から問い合わせを頂くことがあります。衰弱した野生鳥獣を見た人は、何とか助けたいとすぐに行動するようです。野生鳥獣も逃げられない状態なので、発見者により、動物病院に搬送されることが多いと思われます。
公益社団法人・埼玉県獣医師会では、埼玉県から業務委託された傷病野生鳥獣保護治療事業を行っているのはご存知ですか?
この事業では、搬送された傷病野生鳥獣を自然に復帰させることを目的に、一定の条件のもとで診療活動が行われています。
負傷した野生鳥獣は、指定された診療施設にて、無償で診察・治療を行っています。ただし、有害鳥獣となりやすいカラスおよびドバト、特定外来生物に指定されているアライグマなどの鳥獣は、保護・治療の対象外となります。
たとえば、みなさんはタヌキについてどの様なイメージをお持ちですか?
絵本などで見るタヌキは穏やかで愛らしい動物として描かれていることが多いと思います。しかし、野生のタヌキは衰弱していても、獰猛さも持ちあわせています。人間が安易に手を出せば、咬まれてしまう可能性もあります。
また、野鳥や野生動物のなかには、人にも感染する人獣共通感染症に感染していることもあり、肉眼では確認できない危険も潜んでいるので注意が必要です。
では、路上などで負傷している野生鳥獣を発見した場合どうすればいいのでしょうか?
先ずは最寄りの環境管理事務所などの関連機関にその状況を正確に伝え、相談すると良いでしょう。
ただし、最終的には個人の判断に委ねられることも多く、その危険性を考慮したうえで慎重に行動することが大切です。特に死亡している野生鳥獣には絶対に触れずに最寄りの環境管理事務所に連絡して下さい。
公益社団法人・埼玉県獣医師会のホームページには野生動物に対する情報が広く掲載され、その対処方法なども記載されていますのでご参照下さい。
- 鳥獣とは「鳥類または哺乳類に属する野生動物」
- 指定された野生鳥獣の診療施設は、各環境管理事務所にて紹介して頂けます。
- 人畜共通感染症とは「人間と動物の双方が感染しうる疾病のこと」
- 各環境管理事務所の連絡先は公益社団法人・埼玉県獣医師会のホームページにてご確認下さい。https://www.saitama-vma.org/wildlife/death/