猫の発情について

2007年12月29日

 

メス猫は生後およそ8ヶ月くらいで子猫を生めるようになり、1年に2~3回の発情を繰り返します。発情すると独特の野太い声で鳴き、腰を上げた姿勢で足元に擦り寄って来たり、オス猫を求めて外へ出たがったりします。また、猫は「交尾俳卵」という特別の生理をもち、交尾の刺激で排卵するため、受胎率が非常に高いのです。オス猫も生後およそ8ヶ月くらいで大人になりスプレーをしたり、発情中のメス猫を求めたり、縄張りを主張するために大きな声で鳴いて外へ出たがったりします。
こうした時期に(良かれと思って)猫たちを家の中に閉じ込める事は、飼い主にとっても大きなストレスですが、自然な生理のままに生きている猫たちにとっては、飼い主が考える以上のストレスを感じているのではないでしょうか。

 

 ○避妊・去勢の有用性について

どうして避妊・去勢の手術が必要なのでしょうか?
一般に、健康な動物を自由な環境でオス、メス複数飼いすればどんどん数が増えてしまいます。しかし飼い主の、動物を飼う空間や世話をする人手や時間や経済条件、そして新しく生まれた動物を責任を持って飼ってくれる飼い主を探すこと、などにはおのずと限界があります。これらの限界を超えてしまえば、清潔で健康な暮らしを動物たちに与えられなくなるだけでなく、臭いや鳴き声で近所の人たちに迷惑をかけトラブルの原因にもなります。また、現在年間約40万頭もの犬や猫が「飼い主がいない、飼えない」という理由で殺処分されている現実を考えれば、まず第一に「動物たちに無駄な死を与えない」ために避妊・去勢の手術が必要なのです。
なかには、「健康な動物を手術するのはかわいそう」と考える方もいるでしょう。しかし、毎年複数回やってくる発情の期間、交尾しない様に様管理する事は、飼い主にとって、そして何より動物たちにとって大きなストレスになるのです。避妊・去勢手術は、1回行えば一生こうしたストレスから開放されるだけでなく、健康面や行動面にもいろいろなメリットがあります。

健康面でのメリット
繁殖行動や、性ホルモンに関係した病気やケガが軽減され、動物たちがより健康に長生きすることができます。メスでは、避妊手術で発情・妊娠・出産による肉体的負担や、交尾でうつる病気、生殖器の病気、性ホルモンの影響による病気のリスクがなくなります。オスでは、性ホルモンは攻撃性や支配性、縄張り意識を高めるので、去勢手術で精巣の病気や交尾でうつる病気、性ホルモンの影響による病気のリスクがなくなるだけでなく縄張りやメスをめぐるケンカでけがをしたり、交通事故などに遭うきけんが少なくなります。

行動面でのメリット
避妊・去勢をした動物は一般に、落ち着いたおだやかな性格になります。特にオスは、攻撃性や臭いつけのスプレーが少なくなり、飼いやすくなります。

デメリット
避妊・去勢をすると、どうしても太りやすくなります。手術前と同じカロリーの食事を与えたり、同じ運動量だと良くない場合もあります。獣医師と相談して適切に管理してあげたいものです。

 

○いつ手術したら良いのでしょう?

こどもをもうける予定がないなら、最初の発情の前(性成熟前)に避妊・去勢の手術を行えば、一生涯、繁殖に関するストレスから開放された安定した生活を送らせてあげられるでしょう。もちろん、健康であれば、ある程度の年齢までは安全に避妊・去勢手術を受けることができます。

 なお、「動物の愛護及び管理に関する法律・昭和48年」や「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準・平成14年環境省告示」などの法令でも、むだな繁殖を防ぐための、避妊・去勢手術をもとめています。

 

この文章は平成18年3月環境省自然環境局総務課動物愛護管理室発行の冊子をもとに書かれています。

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