猫の乳腺腫瘍

2025年2月5日

 人と同じ様に犬や猫にもおっぱいにしこり(乳腺腫瘍)ができてしまうことがありますが、犬と猫で良性と悪性の比率がかなり違うことはご存じでしょうか。
 犬ではおよそ50%が悪性で50%は良性ですが、猫の乳腺腫瘍は85~95%が悪性といわれています。つまり猫ちゃんの乳腺にしこりがある場合、それは癌である可能性が高いということです。

 実際に乳腺にしこりができた場合も、犬と猫とで対応が大きく異なります。犬の場合半数が良性で、悪性の場合も転移率(他の臓器に癌がとんでしまう確率)は約50%なので、しこりと周辺の乳腺のみを切除することが多いのですが、猫の乳腺腫瘍は悪性率と転移率(50~90%)が高いため、術前の細胞診で、乳腺腫瘍ではないもの(肥満細胞腫など)や外科手術適応ではないもの(炎症性乳癌)が否定されたら、4対ある乳腺の片側全てもしくは両側全ての乳腺を近くのリンパ節と一緒にとる手術をするのが一般的です。脇のあたりから股のところまでの全ての乳腺を切除する大変な手術です。

 また、腫瘍のサイズやリンパ節への転移の有無などから手術後に抗がん剤を投与することもあります。手術の前の検査で既に肺などに転移している場合には手術は選択されません。
 腫瘍がかなり小さい段階で切除すると完治することもありますが、術後しばらくしてから再発や転移を起こす事が多いです。

 このように、できてしまうと大変な猫の乳腺腫瘍ですが、適切な時期に避妊手術をすることで発生リスクをおよそ10%まで下げることができます。
 子供を産んでもらうなどの理由がなければ、適切な時期に避妊手術をすることと、早期発見のためスキンシップを兼ねて定期的に体を触ってあげていただき、怪しいところがあれば早めに動物病院を受診してください。また、女の子に比べると稀ですが、男の子にも乳腺腫瘍ができることもありますので、男の子も触ってあげてください。

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