猫がキャットフードを噛まずに丸呑みしてしまうという話はよく聞きますが、なぜ猫は食べる時にあまり噛まないのでしょうか。その理由とデメリット、および対処方法についてお話します。
猫があまりキャットフードを噛まない理由は、呑み込めるサイズにするために噛みちぎるだけの動物だからと言えます。猫はライオンと同じように肉食性の動物のため、肉を切り裂くことに特化した切歯や犬歯が発達していますが、物を噛んですり潰したり細かくする臼歯はあまり発達していません。そのため、キャットフードを食べた時に大きい粒であれば噛んで吞み込めるサイズにしますが、呑み込めるサイズのキャットフードだった場合は噛まずに吞み込んでしまいます。
キャットフードの丸呑み自体は猫本来のことなので基本的に問題はありませんが、噛まないで丸呑みするということは、早食いの原因になる場合もあります。早食いしてしまう猫はゆっくり食べる猫と比べて、食べている時間も口に入っている時間も短いので、よりたくさんフードを欲して食べ過ぎてしまいます。そして結果的に早食いになっている猫は肥満になる傾向があります。肥満になることで運動不足になりがちですし、足腰が衰えやすくなります。また、標準体型の猫よりも健康状態を保ちにくくなり様々な病気になりやすくなります。
さらに、猫は丸呑み・早食いすることによって急にたくさんの食べ物が胃に入ってくると、胃が刺激されて吐き戻しをしてしまいます。猫にとって早食いで吐くこと自体はそこまで大きな問題ではありませんが、この吐き戻しが頻繁になると、いざ病気が原因で吐き戻した時に病気のサイン(症状)だと気づきにくくなり、対処が遅くなってしまいます。また、キャットフードを吐き戻す度に掃除をしなければならないので、飼い主さんにとっても大変です。
また、滅多に起こりませんが、キャットフードを噛まないで丸呑み・早食いすると、喉に詰まらせてしまう危険もあります。
猫がキャットフードを丸呑みするのを防止する対策としてまず挙げられるのは、たくさんの量を一気に与えるのではなく、少量をこまめに与える給餌方法に切り替えることです。猫が丸呑み・早食いしているのは一種の焦りで、「エサを横取りされないか」という本能からの危機感が働いているからとも考えられています。そのため少量ですぐ食べきれる量であれば、そこまで急がずゆっくり食べられるということです。実際に一度に大量のフードを与えなくなったことで、少量をゆっくり味わって食べるようになった猫もいますので、対策としては有効だと思います。
さらに、猫が丸呑みできないような大粒のキャットフードにして、「噛む必要がある」ようにする方法もあります。吞み込めないサイズであれば猫も嚙まざるを得ません。キャットフードを噛むことで歯のケアもでき顎の強化もできます。ただし、粒の大きいキャットフードに切り替えた直後は、丸呑みの癖が抜けていないので喉を詰まらせる可能性があります。注意して見てあげましょう。
また、あえて食べにくい給餌器で与える方法もあります。一気に食べられない状況を作ってあげることで丸呑みや早食いを防止することができます。今は様々な種類の早食い防止の給餌器やその他アイテムが販売されていますので、必要な場合はご活用ください。
猫の健康のためにも丸呑み・早食いをしていないか注意して見てあげましょう。