愛犬が体を掻いている!下痢している!吐いている!・・・。よくある症状ですよね。
普段食べている食事やおやつ、ガムなどが、その原因になっている場合があります。
食べたものでこの様な症状が出る場合を食物有害反応と言って、専門的には下図のように分類されますが、今回はその中の食物アレルギーについてお話します。
(猫にも食物アレルギーはありますが、現在、猫の食物アレルギーについては不明な点が多いので、今回のお話は主に犬についてのお話です)
食物中の主にタンパク質(食物抗原)に対する過剰な免疫反応によって皮膚の痒み、下痢、嘔吐、などの症状が起きることを言います。
☆症状は・・・
顔(眼・口の周り)、肛門周囲、わきの下、背中、手足の先の痒みや皮膚炎、および外耳炎(よく似た症状に犬アトピー性皮膚炎がありますが、こちらは背中に皮膚炎が出ることはありません)、慢性的で繰り返す下痢や嘔吐。その子によっては皮膚症状がなく、慢性的な下痢・軟便や嘔吐だけの時もあります。
☆治療は・・・
食物アレルギーそのものを治すことは難しいのですが、原因になっている食べ物を与えなければ症状はなくなります(犬アトピー性皮膚炎を併発している時の皮膚炎は残ります)。よって、的確に食物抗原を特定することが重要です。症状がひどいときは一時的にお薬で緩和することも可能です。
☆食物アレルギーの検査は・・・
以前は、動物病院で処方される食物アレルギー用の療法食と水だけを1~3か月与えた時に症状がおさまり、さらにその段階で元の食べ物に戻すことで症状が再燃すれば、原因となっている食べ物は不明のままですが食物アレルギーがあるでしょうと判断していました。現在でもこの方法は大変重要ですが、療法食は現在20種類以上あり、その療法食に食物アレルギーを獲得している子も確認されています。また、食物アレルギー以外の食物有害反応の可能性も否定できません。
現在では血液検査でどの食物抗原に反応しているかを調べることができますので、その結果に基づいて食事内容を検討することができます。
ただし、原因となる食物抗原を特定するための血液検査には大きく2種類あり、一つはIgEという抗体を測定する検査、もう一つはリンパ球という白血球の仲間を測定する検査です。
IgE検査はヒトの食物アレルギーの検査には有効ですが、犬の食物アレルギーの場合、このIgEによって引き起こされるアレルギーは約3割、リンパ球によって引き起こされるアレルギーが約7割と言われています。よって、両方の検査を行わなければ的確な食物の選択はできないことになります。
☆うちの子は大丈夫?
と思った飼い主さん!以下のチェック項目を確認してみましょう
✔ 1歳未満の時から耳や体を掻いたり、手足をなめることが多い
✔ 季節に関係なく冬もそれなりに痒みや皮膚炎がある(季節性がある場合は犬アトピー性皮膚炎、またはその併発の可能性あり)
✔ 顔(眼・口の周り)、肛門周囲、わきの下、背中、耳、手足の先の痒みや皮膚炎
✔ 排便回数が1日に3回以上(健常便、軟便、下痢便に関わらず)。ただし、減量用や体重管理用の食事は排便回数や量が増えます。
以上の項目から1つでも当てはまることがあれば動物病院に相談してみましょう!
また、最近人気のあるフレンチブルドックは好発犬種と言われていますが、柴、ダックスフント、チワワなど、どの犬種でも食物アレルギーは報告されています。
いかがでしたでしょうか?
タンパク質と言えば一般的に肉類(家畜・家禽・魚肉含む)を想像すると思いますが、普段与えているフードの中に含まれる大豆や小麦、米、トウモロコシ、ジャガイモデンプンなどの植物にもタンパク質は含まれており、それによる食物アレルギーも起こっているようです。
アレルギーの診断は基本的にはアレルギー以外の痒みの原因(細菌や真菌、寄生虫などの感染症等)を順序立てて否定していくことが重要です。血液検査だけではアレルギーの診断はできませんのでかかりつけの動物病院に相談してみましょう!