熱中症に注意しよう!

2018年7月30日

 今年は例年になく早い梅雨明け宣言が発表されました。
 その後、高温かつ高湿度の日が多く、過ごしにくい日が続いています。人と異なり汗腺が発達せず、被毛に覆われている犬・猫などのペットにとっては、人間以上に蒸し暑いに違いありません。

 脳の視床下部(*1)にある体温調節中枢は、熱の生産と放散を制御し体温を一定に調節しています。その主な制御は熱の放散に依存しています。
 具体的に犬・猫の体温は、主に呼吸により熱を放散し、概ね37~39℃に保っています。そして、熱放散の調節限界を超え、高体温が持続した状態により引き起こされるのが熱中症です。

 犬・猫は、体温が41℃を超えると細胞障害を引き起こし、神経細胞の不可逆的な損傷を招く恐れがあります。さらに体温が上昇すると多臓器障害(*2)を引き起こします。これにより意識障害、呼吸促迫、嘔吐、下痢などの多岐にわたる症状を示します。
 その一連の経過は非常に速く重篤ですので、熱中症が疑われる場合には、動物病院へ連れていく移動中も氷枕や氷嚢などを首や腋窩、鼠径部に当て効率よく冷却する必要があります。ただし、過度な冷却は、末梢血管が収縮し熱放散ができなくなり、逆効果になることがあるので注意しましょう。

 また、熱中症以外の病気においても高体温となることがありますが、発熱は生理的な防御反応であり、生体の有害因子に対する除去能力を高める作用です。
 様々な有害因子による刺激により食細胞(単球やマクロファージ)から発熱物質が放出され、視床下部を刺激して震えにより熱を産生・維持することで体温調節の温度設定を上昇させる点で熱中症と異なります。

 

 熱中症対策として、屋外飼育の場合には、犬舎を風通しの良い場所に設置し、「よしず」などを使って直射日光を避ける等の対策が挙げられます。
 屋内飼育では、エアコンを使い、28度前後、湿度50~60パーセント位に保つと良いでしょう。また、保冷剤を身に着けて散歩をするなど対処している犬も見かけます。まだまだ熱中症に注意が必要です。

 

*1 視床下部 間脳に位置し自律機能の調節を行う総合中枢部位。

*2 多臓器障害 重症傷病が原因となり起こる2つ以上の臓器の進行性の機能障害のこと。

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