水辺に注意!~イヌのレプトスピラ症~

2024年11月18日

埼玉県は、海はないが川がある!

私たちが暮らす埼玉県は、県土面積に占める河川面積の割合が、全国で二番目の広さを誇ります。これは荒川と利根川の二大河川をはじめ、大小様々な河川が流れているからです。

そんな水辺空間が豊かな埼玉県で注意したい疾病にイヌのレプトスピラ症があります。
イヌのレプトスピラ症は、レプトスピラという細菌によっておこり、イヌやヒトを含む哺乳動物に感染する「動物由来感染症」であり、家畜伝染病予防法の届出伝染病に指定されており、診断した獣医師には届出が義務付けられています。
イヌのレプトスピラ症は、主に野ネズミなどの哺乳動物の腎臓に保菌され、それらの動物の尿や、尿によって汚染された河川の水や土壌に接触することで、皮膚や粘膜表面から感染します。
大雨や台風による洪水の後に、汚染された水や土壌が広範囲に流出し、感染のリスクが高くなるので、ヒトもイヌもともに8〜11月の夏から秋にかけて発生が多くなる傾向にあります。

また都市部においても、木造家屋や飲食店の多い路地や地下街にも野ネズミは住みつき、野ネズミの尿による水や食物の汚染や、野ネズミによる咬傷により、イヌだけでなくヒトにも感染するリスクがあります。
このような都市部でも、野ネズミが住みつきやすいような場所では、侵入防止と定期的な野ネズミの駆除を行ない、環境衛生の管理も重要となります。

イヌのレプトスピラ症の症状は、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水などの一般的な症状の他に、口腔粘膜の出血性黄疸、腎臓や肝臓の機能障害などが認められ、重症例が多く、時には死に至ることがあります。
またイヌのレプトスピラ症は感染していても症状がなく、尿中に菌を排出することがあるため、他のイヌやヒトへの感染源となるので注意が必要です。

イヌのレプトスピラ症の予防には、一年に一度のワクチン接種が有効です。
特にワクチン接触が推奨されるイヌは・・・
・田畑や野山、河川敷などが散歩コースのイヌ
・キャンプやアウトドアレジャーにご家族と一緒に行くイヌ
・他のイヌとふれあう可能性があるドッグランで遊ぶ機会が多いイヌ

上記の項目に当てはまるライフスタイルのイヌは、感染するリスクがあるので、レプトスピラ症のワクチン接種をお勧めします。

ワクチン接種や環境衛生に気をつけることにより、愛犬のみならず、ご家族の健康や暮らしの安心安全に繋がることが期待できるでしょう。イヌのレプトスピラ症の予防を希望されるようでしたら、動物病院にご相談ください。

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