人間界のみならず、食餌の品質向上や獣医療の進化などにより平均寿命が延び、
ワンちゃんネコちゃん界でも高齢化が進んできています。加齢に伴い体のいろいろな所にも
変化が表れてくるのは自然な事です。その一つに核硬化症というものが有ります。
「歳をとってきたら眼が白くなってきた」と、思われた飼主さんは多いと思います。
眼が白くなる病気として、眼の表面の角膜が白くなる病気と眼の中のレンズが
白くなる病気があります。眼の中のレンズが白くなる病気として、皆さんが一番に
思い浮かぶのは白内障だと思いますが、日々の診療で遭遇するのは白内障よりも
核硬化症の方が圧倒的に多い様に感じます。
眼球内の水晶体(レンズの部分)内部にある水晶体核は経年変化により水分が減少し
凝縮硬化します。その結果、レンズの光屈折率が変化し光の加減で眼の中が白く濁って
見えるというものが核硬化症です。
痛みや違和感はなく視力にも影響しないと言われており治療は必要ないとされている
ものです。病気ではなく老化現象の一つと言ってよいでしょう。
白内障とよく間違われますが、水晶体が不均一に不透明な乳白色に見える白内障に
対して核硬化症では水晶体全体が透明感のある青灰白色のかすみ様に見えるという違いが
有ります。但し、白内障でも初期の段階では水晶体の部分的な変性が軽度にしか確認できず
判断しにくい事がありますので、気になる様でしたらかかりつけの動物病院で判断して
もらいましょう。
また、眼の表面が白濁している場合や眼がしばしばする症状がある、充血している等の
症状が有る場合は核硬化症以外の疾患が考えられますので早目に動物病院を受診してください。