連日、ニュースなどでも取り上げられておりご存じの方も多いと思いますが、今シーズン※は高病原性鳥インフルエンザが全国的に多発し、埼玉県でも令和4年12月に2農場、令和5年1月に1農場の合計3農場で発生が確認されました。(令和5年1月26日時点)
今回は、改めて高病原性鳥インフルエンザに関する情報についてお話させていただきます。
※鳥インフルエンザの原因となるウイルスは、10月頃から日本国内にシベリア等北方から飛来する渡り鳥により持ち込まれると考えられています。このため、鳥インフルエンザは概ね10月から渡り鳥が北方に帰還する5月までをワンシーズンとしています。
〇高病原施鳥インフルエンザとは?
家きん(家畜として飼育されている鶏などの鳥)に感染するA型インフルエンザウイルスによって引き起こされる病気を鳥インフルエンザといいます。
この中で、高確率で家きんが死亡する場合など、家畜伝染病予防法で定められた条件に当てはまる場合、高病原性鳥インフルエンザと判定されます。
〇今シーズンの日本国内での発生状況について
今シーズンは過去最悪のペースで高病原性鳥インフルエンザが発生しています。令和5年1月26日時点で66事例、殺処分された家きんの羽数は、約1180万羽です。これは国内飼養羽数の割合では約3.7%を占めています。
これまでは、令和2年から3年にかけてのシーズンでの52事例、殺処分羽数約987万羽であったことからも今シーズンはどれだけ多くの被害が出ているかが想像できると思います。
〇埼玉県内での発生状況と農場での防疫措置
このような状況の中、令和4年12月に埼玉県内の採卵鶏農家2農場、令和5年1月にあひる(アイガモ)農家1農場で高病原性鳥インフルエンザが発生しました。
発生状況については、下記の表のとおりです。
発生順 | 発生日 | 発生市町村 | 殺処分羽数 | 防疫措置への動員数 | 防疫措置終了日 |
1 | R4.12.17 | 深谷市 | 約19万4千羽 | 2,164人 | R4.12.23 |
2 | R4.12.30 | 狭山市 | 約13万羽 | 1,922人 | R5.1.3 |
3 | R5.1.26 | 行田市 | 約3000羽 | 36人 | R5.1.26 |
(令和5年1月26日時点)
高病原性鳥インフルエンザが発生した農場で飼育されている家きんはすべて殺処分されます。
「なぜ、すべての家きんを殺処分するのか?」との御意見をいただくこともありますが、高病原性鳥インフルエンザは感染力が強く、感染した鶏の死亡率が高いため、周辺の農場へ広がった際の影響が非常に大きいことから同じ農場で飼育されている家きんはすべて殺処分することが法令により定められています。
殺処分された家きんは、埋却又は焼却により処分されます。 その後、農場内を清掃・消毒して防疫措置は終了となります。
〇鶏卵・鶏肉は安全です
高病原性鳥インフルエンザが発生した農場の鶏卵・鶏肉はすべて処分されるため、市場に流通することはありません。
万が一、鶏卵・鶏肉にインフルエンザウイルスが存在していたとしても、インフルエンザウイルスは熱や酸に弱いため、調理中の過熱や胃酸で死滅すると考えられています。
これまで、日本国内で鶏卵・鶏肉を食べて、鳥インフルエンザウイルスに感染した例は報告されていません。
〇野鳥について
鳥インフルエンザは家きんだけでなく、野鳥にも感染します。
しかし、野鳥は飼育されている家きんと違い、エサ不足、寒さ、鳥インフルエンザ以外の病気等、様々な原因で死亡します。
死亡野鳥を見つけた場合、まずは触らずに、発見場所の住所地を管轄する県の環境管理事務所に連絡してください。
環境省が定める基準に従い、死亡した野鳥の状況、種類や羽数によっては鳥インフルエンザの検査のために、死骸等を回収する場合があります。
詳細は、埼玉県ホームページ「死亡野鳥をみつけたら」からご確認ください。