刺されてしまうと、時に命まで落としてしまうこともあります。被害は秋に多いのですが、ハチの集団はこの時期から作られ始めます。ハチの生活・習性を知って事故を未然に防ぎましょう。
○スズメバチの生活サイクル
スズメバチは、梅雨に入ったこの時期から秋にかけ、次期女王バチの育成期間になります。
それにともなって、巣も大型化しその周辺でのハチの活動も活発になります。
4~5月 昨年の秋に羽化した女王バチが越冬からさめる時期で、女王バチ単独で営巣を
はじめます。
6~7月 働きバチの羽化が本格化するこの時期から女王バチは、卵を量産します。
7~8月 つぎつぎと誕生した働きバチにより、巣は急速に巨大化していきます。
8~10月 オスバチと新しい女王バチの幼虫が育てられ、働きバチを生まなくなり徐々に
全体の数が減少していきます。
9~11月 オスバチが羽化をはじめ、その数週間後、新しい女王バチも相次いで羽化しま
す。その後、巣を離れ交尾します。交尾を終えた新しい女王バチは越冬場所を
探します。冬になると巣は空になり、翌年には使われることはありません。
(岐阜大学教育学部理科教育講座地学教室HPより引用)
○スズメバチの種類
郊外で見られるようになった比較的大きなスズメバチ
コガタスズメバチ(21~30mm):雑食でいろいろな昆虫をえさにする。
キイロスズメバチ(17~28mm):えさは、アブやハエ。攻撃的。
オオスズメバチ (27~45mm):えさは、コガネムシなど。全国に広く分布し非常
に攻撃的。近づくものは敵で襲ってきます。巣を
守る本能が非常に強く、蜂による被害のほとんど
がオオスズメバチによるものです。
○スズメバチの習性
攻撃性 スズメバチは、外敵から巣を守る手段としてその攻撃性が発達しており、直接間接
を問わず巣に刺激を加えると攻撃してきます。
8~10月は新しい女王バチが誕生し育つ時期なので、いっそう攻撃性も強くなり
ます。
巣 地中、草むら、軒下、床下、外壁の隙間など、スズメバチはいろいろな場所に巣を
作ります。作り始めは5~6月。そのころは、とっくりを伏せたような大きさです
が、ひと月ほどでサッカーボールほどの大きさになります。
(岐阜大学教育学部理科教育講座地学教室HPより引用)
○スズメバチへの対処
スズメバチだけではないが、巣をつくり集団で生活するハチは、棲みか(巣)を守るために外敵への攻撃性が発達しています。そのためにも直接、間接的に巣周辺を刺激しないことです。
飛び回るハチが確認されたり、巣の場所がわかっているとき
・夏前の巣の小さい時期ならこの時期に巣ごと駆除するのが望ましいです。自治体や駆除業
者に相談してください。
・巣に触れたり、石や棒で直接刺激しない。
・周囲の木や枝を揺らしたりしない。
・とにかく、近づかないこと。巣との距離を十分にとれば攻撃はありません。しかし、
8~10月の新しい女王バチの育つ時期は要注意です。
・飛び回るハチが多い場所は、周辺に巣がある可能性があります。ハチに刺激を与えないよ
うに気をつけましょう。やむおえず作業などをするときは、白っぽい服装をして、かつ、
攻撃されやすい頭部を守る帽子が必要です。
まわりにハチがいない、巣の場所がわかっていないとき
・スズメバチは、生垣によく使われているベニカナメモチの樹液を好みます。
また、クヌギやコナラなどの樹液にも集まります。ほかの昆虫もこれらの木は餌場です。
カブトムシやクワガタを採集に行くときなど、飛んでいるハチに出くわしてしまったら、
とにかく、刺激をしないようにこころがけましょう。
・家の中や車の中に入ってきたら、明るい方向の窓をあけ、飛び去っていくのを静かに待ち
ましょう。ハチは、明るい方向へ向かう性質があり、そっとしておけば自然に外へ出て行
くと思われます。
・ 秋になり外気温が低くなると暖かい洗濯物にハチが潜むことがあります。有効な対策は洗
濯物を取り込むときに、はちのいないことを確認することです。
○ワンちゃん・ネコちゃんへの危険
外を散歩する機会のあるワンちゃん、お庭に出ることのあるネコちゃんにも、ハチに対する危険は同じです。 ワンちゃんネコちゃんは、動くものに興味をもつものです。ハチを刺激しないようなお散歩をこころがけてください。また、公園やお庭には、ハチ以外に刺傷事故をおこすクモもいます。
もし、刺されたことが予想できるときは動物病院に受診してください。
多くのケースは、刺された部位や刺された回数など不確実な状況です。ですので、症状もさまざまですが、アレルギー反応による症状を呈することに注意が必要です。局所的な免疫反応が一般的で、刺されたと思われる部位は腫れてしまい、時に、顔面の腫脹やからだに蕁麻疹を伴うのともあります。
深刻なケースでは、アナフィラキシーを起こすこともあります。
刺されてから、数十分以内に症状が現れます。嘔吐・失禁・流涎・呼吸困難・痙攣・虚脱などとして症状が現れます。
予防は、接触しないことです。
飼主さまにも、ワンちゃんネコちゃんにも、日頃よりお散歩コースに危険がないかを確かめておくことが事故を防ぐのに大切です。
≫スズメバチの写真の引用にあたり、岐阜大学教育学部理科教養講座地学教室川上紳一先生のご好意に感謝します。