今回の改正の焦点は、前回の改正時に見送られた、 子犬・子猫の生後56日間の販売規制でした。欧米のペット先進国では56日齢未満の犬を販売してはならないと法律に定められています。親や兄弟から離れる時期が早すぎると、吠える、咬むなどの問題行動を起こしがちで、結果的に殺処分されるペットが増えるということが理由です。それにならい日本でも生後56日までは販売禁止にしようという動きが以前からありました。 行政が政策、制度等を決定する際に、国民の意見を聞いて、それを考慮しながら最終決定を行う仕組みにパブリックコメント制度というものがあります。今回の動物愛護法改正にあたり実施されたパブリックコメントでは、12万2000通ものコメントが寄せられました。前回の改正で子犬子猫の販売規制が見送られたせいで注目度が上がったものと思われ、受け付けた環境省もあまりの多さに意見を集約するのにかなりの時間を要したそうです。意見の半数が56日齢以上の規制に賛成であり、日本小動物獣医師会で行われたアンケートでも8割以上の獣医師が、子犬子猫を親兄弟から引き離す日齢は56日以上が望ましいと答えております。 56日齢規制で問題なく法案が成立すると思われましたが、すんなりとはいかず、今年8月29日に国会会期ぎりぎりで改正動物愛護法が成立しました。しかし、法律は生後56日まで販売禁止にはなりましたが、附則によって引き離し禁止期間が当初3年間は生後45日まで、4年目からは生後49日までとされました。しかも、「別に法律で定めることがない限り、禁止期間は56日にはならない」とややトーンダウンしてしまいました。 ペット販売業者側は45日規制を主張しておりますが、生後45日の引き離しは、問題行動を起こす確率が有意に高まると考えられているほか、免疫力が低下する時期でもあり、研究者など専門家は否定的であります。そのため、動物にとっても飼い主さんにとっても、早期の56日齢規制導入が望まれます。 |