獣医師の仕事の分野のうち
「家畜の伝染病予防など畜産農家の衛生管理」に携っているのが地方公務員獣医師であり、
埼玉県では農林部に所属しています。
前回2018年3月27日の公務員獣医師日記(家畜保健衛生所編)に続き、
今回は県庁「畜産安全課」編をお届けします。
さて、県庁勤務の獣医師はどんな日常を過ごしているのでしょうか。
△月○日(月)
先週後半は、国の会議や研修会が続いて出張ばかり。
でも、他県の取組で参考になる事例があったし、
家畜保健衛生所(以下、家保)との情報共有のためにも早いところ復命書を作らなくちゃ。
「今まさに農場で問題になっている病気」をどうやって解決していくか、
「これから問題になりそうな病気」は問題にしないために
どうするか、が大事なんだよね。埼玉ではまだ問題になってなくても、
農家さんからSOSがあった頃には時すでに遅し、
なんてことにならないようしっかり対策を考えておかないと。
△月△日(火)
先週、26年ぶりに国内で「豚コレラ」が発生!!
その後の状況はどうなったかな。豚コレラは、ウイルスが原因の豚とイノシシの病気。
日本は12年前に清浄国になったので、
いわゆる家畜の「海外悪性伝染病」だったのに、どうやって国内に侵入したんだろう。
国からの情報は、主にメールで深夜、休日関係なく送られてくる。
早朝送られてきたメールを読む限り、豚で新たな発生は無さそう。
でも…発生県で始まったばかりの野生イノシシ調査で豚コレラ陽性だって?!
おまけに、お隣、中国では牛・豚の伝染病、口蹄疫の発生が続いてるよ…。
渡り鳥の飛来シーズンだし、いよいよ鳥インフルエンザも心配な季節到来だ。
国が水際対策を徹底しているとはいえ、農場での消毒の徹底や、
発生国への渡航自粛など、改めて家保から畜産農家に注意喚起してもらおう。
△月□日(水)
家保から、先月分の検査の実施状況や伝染病の発生状況の報告書が提出されてきた。
県内全体を取りまとめて明日中に国に報告しなくては。
こうした報告は、法律で定められていたり、
事業のルールで定期的にしなくてはいけなかったり…。
今回は、いくつか報告時期が重なってしまった。
単純作業とはいえ地味に大変なのよね~、とついついひとり言。
△月◇日(木)
国からの指示で、野生イノシシの豚コレラの全国調査が始まることに。
野生イノシシとなると、野生動物の事業を所管している環境部のみどり自然課
の協力なしには進められない。環境省からも通知が出ているようだし、
具体的にどうするか打合せが必要だな。
みどり自然課も、鳥インフルエンザの関係で野鳥の対応はしているけど、
イノシシは初めてだからなぁ。調整しなくちゃいけないことがワンサカだ。
△月×日(金)
今日は、来週予定している研修会の準備に専念。
研修の内容は、高病原性鳥インフルエンザが県内で発生した場合の防疫作業について。
でも、家畜の病気のことを全く知らない人たちが対象なんだよね。
正しい知識は伝えなければいけないし、専門的だと分かりにくいし…。
誰が見てもわかる資料を作るって意外と難しい。
持ち時間が60分あるから、丁寧に説明すればわかってもらえるかな。
以上、最近のトピックスも盛り込みつつ、
ほぼノンフィクションなフィクションでのお仕事紹介でした。
畜産安全課では、家畜の病気だけでなく、
畜産経営の支援のための補助事業や県産畜産物のブランド化といった畜産振興、
家畜排せつ物の適正な処理といった畜産環境の業務にも獣医師が携わっています。
事務的な仕事がほとんどですが、
そこに獣医師としての経験や専門知識が活かされています。
技術を使わない県庁勤務の時は、自称「ペーパー獣医」と言っていますが、
ペーパードライバーとは「ペーパー」の意味が少し違ったかも…。