ネコの甲状腺機能亢進症は、糖尿病と並んで代表的な内分泌疾患です。
しかし、ネコの甲状腺機能亢進症の症状はあまり特徴がありません。甲状腺機能亢進症の高齢のネコでは、よく食べているのに痩せて、毛艶が悪くなったりする姿がみられますが、ご家族はこの様子を老化の影響で仕方ないと思われていることも少なくありません。
甲状腺機能亢進症のネコは、ほとんどが中高齢の7〜8歳以上にみられます。
主な症状として、多食、体重減少、頻脈、嘔吐、下痢、活動的に動き回る、怒りやすくなるなどがあります。
また、甲状腺機能亢進症のネコでは、慢性腎臓病が隠れていることがあります。
甲状腺ホルモンは体の代謝を活性化し、エネルギーを消費させます。
ネコの甲状腺機能亢進症のほとんどが、甲状腺の過形成、腺腫または腺癌に起因し、甲状腺ホルモンの合成と分泌の過剰によって現れる疾患です。
診断としては、血液検査で血中の甲状腺ホルモンを測定し判断します。
また、頚部を触ると腫大した甲状腺を触知できることもあります。
治療は甲状腺ホルモンの生成を阻害する薬を内服する内科療法、甲状腺の外科的切除、ヨウ素制限食の給餌などがあります。
治療法により、長所、短所がありますので、もし治療が必要な場合はかかりつけの獣医師と相談の上、検討してください。
ネコの甲状腺機能亢進症は、日々一緒に生活を送る中で加齢による変化と混同し、見逃してしまうこともある病気です。元気に過ごしていても中高齢になりましたら、定期的に動物病院を受診することをお勧めします。
体重が減ってくるなど疑わしい症状がありましたら、血液検査を行い、甲状腺機能亢進症や他の疾患がないかチェックすることで病気の早期発見につながり、より健康的な生活を送る一助となるでしょう。