犬を飼っている方なら、フィラリアなんて知ってるよという方が多いと思いますが、それでも毎年よく聞かれる質問をまとめてみました。
その前に、フィラリア症という病気を知らない方もいると思いますので、簡単に説明します。
フィラリア症は、犬糸状虫ともいわれる寄生虫(そうめんぐらいの太さで長さが17~28cmぐらいある)が、犬の心臓や肺の血管に住み着き、血液の流れに異常をきたし、死に至ることもある病気です。
感染している犬の血液には、大人の虫(成虫)の産んだ子虫(ミクロフィラリア)が流れていて、この犬を蚊が刺したときに血液と一緒にミクロフィラリアも吸い込まれ、蚊の体内で成長し(感染子虫となり)、この蚊が他の犬を刺したときに刺された犬の体内に入り感染します。
感染しないためには蚊に刺されないことですが、全く刺されないようにするのは難しいので予防薬で予防していくことが必要になります。予防薬には、月1回の飲み薬やスポット薬(背中につける)、1年効果の続く注射薬などがあります。
Q. 毎月の予防薬の場合
春には「いつから予防を始めたらよいです?」
秋には「いつまで続けたらよいですか?」
「もう蚊がいないから予防をやめても良いですよね?」など
一番多いのが投与期間の質問です。
A. 予防の開始は、蚊を見かけるようになってから1か月後
予防の終了は、蚊を見かけなくなった1か月後 となります。
予防薬は、予防薬というから投与した先の日々を予防してくれると思ってしまいますが、蚊に刺されて犬の体内に入って1か月たった感染子虫を退治していく駆除薬です。つまり、1か月遅れて退治していくことになります。
埼玉県内でもお住まいの地域や、その年の気候により蚊を見かける期間は違いますので、かかりつけの動物病院または最寄りの動物病院にご相談ください。
特に、蚊を見かけなくなると投与を忘れてしまう方が多いので、お忘れなく。
Q. 昨年の予防薬が残っているので飲ませても良いですか?
A. 必ず動物病院で検査を受け、感染していないのを確認してから投与してください。
予防薬が残っていると言う事は、昨年の予防が不十分で、感染している可能性があります。感染している犬が予防薬を飲むと、ショックを起こし、最悪亡くなってしまうこともあります。
Q. 先月予防薬を投与するのを忘れてしまったので、感染していないかすぐに調べてもらえますか?また、この後の予防はどうしたらよいですか?
A. 投与しそびれた月から6か月以上経たないと、検査で感染を確認することができません。
検査は、犬から採血し、フィラリアの成虫が産んだミクロフィラリアが血液にいるのを見つけるか、血液中にある成虫自体から出る成分を調べる抗原検査があります。
つまり、フィラリアが成虫にならないと調べられず、蚊に刺されて犬の体内に入った感染子虫が成虫になるには6か月かかるので、6か月後でないと検査できないのです。
この後は、わからなくなってしまったからと予防を諦めてしまう方がいるのですが、その後の感染を防ぐためにも、気付いた時から残りの予防期間の投与を続けてください。
Q. 猫もフィラリアに感染すると聞いたのですが予防した方が良いですか?
A. 犬より感染する確率は低い(犬の10分の1位といわれている)のですが、猫もフィラリアに感染しますので、予防するに越したことはありません。
猫用の予防薬がありますので、動物病院にご相談ください。
これらの質問以外でも、分からないことがあれば、どんなことでもお気軽に動物病院にご相談ください。
フィラリア症に関連した過去の「トピックス」
・フィラリア予防を続けていますか? 2007.10.29
・フィラリア症(犬糸状虫症)の予防の季節です。 2011.6.10
・フィラリアってネコには感染しないの? 2015.12.7