不妊、去勢による生殖器系疾患の予防効果について

2016年3月29日

 一般にメスの性腺(卵巣)を取り除くことを不妊手術、オスの性腺(精巣)を取り除くことを去勢手術と言います。

 不妊、去勢をすることで無計画な繁殖やオス同士の闘争、マーキングなどの問題行動を防止できることはよく知られていますが、生殖器系疾患の予防にも効果があることをご存じでしょうか? 


 現在、日本で飼育されている犬、猫の不妊手術、去勢手術の実施率は、犬が約51%、猫が約78%で、犬は猫に比べてかなり低い結果となっています(平成27年10月現在、一般社団法人ペットフード協会調べ)。
 その理由としては、犬は猫に比べて自由に交配する機会が少ないことや、猫ほど問題行動が起こりにくいことなどが関係していると考えられます。

 しかしながら、生殖器系の病気は、猫よりも犬の方が明らかに発症リスクが高いので、交配を予定していない犬は、できるだけ不妊、去勢をすることをお勧めします。

 犬、猫を飼ったら正しい知識を身につけて頂き、早いうちから不妊、去勢の対策を検討して下さい。手術の方法や時期など、詳しいことはかかりつけの獣医師にご相談ください。

 

不妊、去勢で予防できる代表的な病気

 オス

精巣腫瘍(犬、猫)(注1)

前立腺肥大(犬)

会陰ヘルニア(犬)

肛門周囲腺腫(犬)

 メス

卵巣腫瘍(犬、猫)

乳腺腫瘍(犬、猫)(注2)

子宮蓄膿症(犬、猫)

膣過形成(犬)

膣平滑筋腫・線維腫(犬)

 


(注1)
犬の場合、停留精巣(鼠径部の皮下や腹腔内にある精巣)は、正常の位置にある精巣に比べて腫瘍の発生率が13〜14倍高くなるという報告があります。

 (注2)
不妊手術の時期と乳腺腫瘍の発症率との関係
1.犬の場合
・最初の発情の前に手術をした場合…0.05%

・最初の発情と2回目の発情の間に手術をした場合…8%

・2回目の発情と3回目の発情の間に手術をした場合…26%

・2.5歳以降に手術をした場合…予防効果は期待できない 

2.猫の場合

・生後6か月齢までに手術をした場合…9%

・生後7か月齢〜12か月齢までに手術をした場合…14%

・2歳以降に手術をした場合…予防効果は期待できない

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