近年、ヤマビルの吸血被害が増加しています。
ヤマビルはもともと山奥の森林に生息していましたが、鹿や猪の個体数の増加、生息域の拡大に伴って、人里まで拡大しています。キャンプやトレッキングなど、レジャーの季節と重なりますので、生息域付近で活動する場合には注意しましょう。
ヤマビルは体長約3cm、体に三本の縦じまがある陸生ヒルで、シャクトリムシの様に歩行し、弾力性に富んで踏んづけてもつぶれない強靭な筋肉を持っています。
普段は鹿や猪に取り付き吸血していますが、野外活動中の人や遊歩道を散歩中の犬も吸血されることがあります。ヒルジンという麻酔効果のある血液抗凝固物質により気づかれずに吸血し(吸血量は2~3ml)、その後もしばらく血が止まらないことが多いです。
現時点において、吸血による寄生虫や病原体の伝播などは確認されていませんが、痒みが残ったりまれに化膿することもありますので注意が必要です。
【活動時期と場所】
4月~11月で、特に6月~7月の梅雨、9月の秋雨の時期は活発になります。
気温20度以上で、雨もしくは雨上がりの天候。晴れの日でも朝と夕方は多く出現します。現在、関東地方では神奈川県の丹沢地方、千葉県南部での被害報告が多いです。
登山道、林道、獣道、遊歩道、広場など野生動物や人が頻繁に行き来する道の脇(ほとんど1m以内にいる)、日陰の湿った落ち葉の下などに隠れています。
【個人による対策】
・野外活動中は、長袖長ズボンなどを着用し、肌を露出しないようにする。
・靴、靴下、手袋、長ズボンはすそから膝、長袖シャツは袖から肘まで
忌避剤(ディート含有)をかけておく。
・ヤマビルに効果がある身近な物
市販の食酢(酸度4.2%)
消毒用アルコール(80%)
食塩水(20%以上)
いずれもハンドスプレーに入れて携帯し、ヤマビルを見つけた時や取りつかれた時に動かなくなるまで直接吹きかけます。
【広域的な対策】
ヤマビルの生息域を広げないために、個人的な対策とともに地域での対策が重要となってきます。
・草刈りや落ち葉かきなどをしてジメジメした環境をなくす。
・ヤマビルの活動を一時的に抑制するには、薬剤散布をする。
・ヤマビルは、鹿や猪などの野生動物によって運搬されることが多いので、
鹿や猪を人の生活圏に近づけないようにする。
・野生動物の適切な生息密度の管理を行う。
個人、地域、自治体が、ヤマビルに関する情報を共有することが重要です。