フィラリア症(犬糸状虫症)の予防の季節です

2007年4月30日

 

○フィラリアはそうめんのような寄生虫です

フィラリア症は心臓にフィラリア(犬糸状虫)が寄生して起こる病気です。蚊が犬の血を吸う時に感染します。蚊の体内にいる時、フィラリアは1mm位の小さな虫ですが犬の体内に入ってから筋肉や脂肪の中で3〜4cmの大きさまで成長します。それから血管を通って肺動脈に寄生を始めますが、ここでまたしばらく成長して最終的には心臓に寄生します。心臓に寄生をする頃にはフィラリアは15〜30cm位のそうめんのような虫になっています。いったん寄生をしたフィラリアは犬の体内で6〜7年生きます。
 

○はじめの頃は症状があまり目立ちません

フィラリアに感染しても、はじめの頃はあまり症状が目立ちません。病気が進んでくると、せきが出る、元気がない、食欲がない、やせてくるなどの症状が出ます。さらに病気が進んでくると、お腹が膨れてくる、コーヒーのような色の尿をする、せきと共に喀血をするなどの症状が出る事があります。典型的な症状が出始めた時には病気はかなり進んでいる事が多いのです。だから予防がとても大切です。
 

○フィラリア症は予防ができます

フィラリア症は予防ができます。蚊に刺されなければ感染しませんがこれはなかなか難しい事です。そこで、フィラリア症の予防薬が広く使われています。この薬は予防薬と呼ばれていますが、実は犬の体内で成長をしているフィラリアを殺す薬です。心臓に寄生を始めてしまったフィラリアにはあまり効果がありませんが、まだ筋肉や脂肪の中で成長している一時期には100%の殺虫効果があります。投薬のタイミングが大事なのですが、フィラリアは夏の期間蚊に刺されていつ入ってくるかわかりません。そこで、多くの場合予防薬は一ヶ月に一回のペースで服用する事になっています。また予防薬の投薬の前には血液検査でフィラリア症にかかっていない事を確認します。現在国内で認可されている予防薬は、粉薬、錠剤、チュアブルと呼ばれる肉片状のものあるいはビスケット状のもの、スポットタイプ(皮膚に滴下するもの)、それに注射薬があります。投薬の時期は5、6月から11、12月頃までとなりますが、具体的には動物病院にご相談ください。
 

○まれですが人にもフィラリアが感染します

体内にフィラリアを持った蚊は犬だけではなく人も刺します、この際フィラリアは人の体内にも入ってきますが、殆どの場合成長する事ができずその場で死んでしまいます。しかし、まれに死なずに成長する事があり、この場合は人の体内をめぐって多くは肺に病変を作ります。せきや胸痛といった症状が出る事があります。少ないとはいっても人に寄生する事があるのでフィラリア症は「人畜共通寄生虫症」のひとつになっています。やっぱり予防が大切ですね。

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