ノミアレルギーについて考えてみよう

2024年8月1日

 わんちゃんねこちゃんを飼っていらっしゃる多くの方が聞いたことがあると思いますが、「ノミ」もしくは「ノミアレルギー性皮膚炎」についてどのくらいご存知でしょうか?
 実際にノミを見たことがないという方も多いのではないでしょうか?動物病院でノミアレルギー性皮膚炎と診断することがありますが、実は多くがノミが見つからないのです!!

 今回は知っているようで知らない、ノミおよびそのアレルギーについてお話ししたいと思います。

・ノミとは
 羽を持たない小型の吸血昆虫です。自然界に2000種類以上ある中で犬や猫に寄生するのはほとんどネコノミです。実はイヌノミは少ないのです。
 ノミは卵、幼虫、サナギ、成虫と発育し、ネコノミは寄生するとすぐに吸血し(多くが5分以内)、吸血後に交尾が行われ雌は吸血後24時間以内に産卵を始めます。産卵数は1日あたり平均27個と言われており、卵は数分から数時間以内に宿主から環境中に落下します。そして卵は1〜6日で孵化し、幼虫はノミ糞を餌として生きて5〜11日で蛹になります。幼虫は乾燥や光に非常に弱いですが蛹は環境に強く数週間から数ヶ月生存可能なのです。室内ではカーペットの奥などにいて屋外では木の葉の裏や土壌中の暗くて湿気のあるところに隠れています。通常の環境だと1〜2週間で羽化して成虫になります。成虫は宿主に飛び移り、毛繕いや薬で強制的に排除されない限り宿主にずっと寄生します。このようなサイクルを最短だと2週間、多くて3〜8週間で繰り返します。寄生することができないと6〜8週で死滅します。
ちなみにネコノミは犬や猫に限らず人にも寄生して吸血します。アウトドアや庭仕事のときは気をつけましょう。

・ノミアレルギー性皮膚炎
 ノミアレルギーはノミの唾液に含まれる抗原(原因物質)に対する反応です。1回ノミに刺されただけでは痒くはありません。ヒトの花粉症と同じく何度も抗原に感作されて体が過剰に反応することによって起こるのです。そういったわけで生まれ持ってとか子犬の時点とかではノミアレルギーというのは起こりにくく、通常6ヶ月以上5歳以内に発病しやすいです。症状は腰や尾に出やすく、痒みのほかに丘疹というぶつぶつが出ることがあります。慢性化するとフケや色素沈着が認められます。


・ノミアレルギー性皮膚炎の診断
 ノミを見つけられれば簡単ですが、最初にお話ししたように見つからないことも多いです。症状のほか初夏から初冬という時期や腰を中心とした発症部位で疑いを強めます。場合によってはアレルギー検査で補助的に診断することもあります。

・ノミアレルギー性皮膚炎の治療・予防

 ノミの排除
→寄生後5分以内に吸血することからノミに刺されないというのは無理な話で、速効性のある薬剤で駆虫することで産卵も抑えられます。薬はスポットオンと呼ばれる外用滴下剤と経口薬に分かれます。最近の薬は速効性があり駆虫率も高いので動物病院にてご相談されると良いでしょう。また生活環境に関してはカーペットや家具の下などノミがいそうなところを掃除機で掃除したり、いつも使用しているクッションなどがあれば天日干したりすると良いでしょう。

 かゆみの管理
→ノミの駆虫が完了するまで起きるかゆみに関してアレルギー薬であるプレドニゾロンやオクラシチニブという薬を処方することがあります。

 

・最後に
一度ノミに過敏になってしまうと再度感作されると痒みが出やすいので痒みがなくなった後も定期的に駆虫薬を投与することが非常に重要となっています。外で思いっきり遊び回っても、しっかりとノミ予防をしつつ、部屋の掃除や動物の状態を確認していくようにしましょう!

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