ペットを飼っている方なら1度は耳にした事があるかも知れません。 この病気は、その名のとおり猫にひっかかれたり、咬まれた時に傷口から侵入した細菌によって起こされる感染症です。時に犬からの感染も知られています。薄着になり皮膚の露出が多い夏の季節には注意が必要です。
○原因
原因はバルトネラヘンセレー(Bartonella henselae)という細菌です。猫はこの菌に感染すると2~3ヶ月に渡って血液中に菌を保有しますが、症状はほとんど現わしません。猫から猫への伝搬はネコノミが関わっていると考えられています。また、猫どうしの闘争の際に直接伝搬する事もあります。日本大学獣医学科公衆衛生学研究室の調査では、日本の飼い猫の10頭に1頭はバルトネラ菌を保有している事が明らかになっています。
○人での症状
ヒトでは受傷後10日以内の潜伏期間の後、傷口付近に丘疹や水胞ができ、多くの場合2~3週間して付近のリンパ節(首やわきの下、股など)が腫れてきます、発熱を伴うこともあります。軽症の場合は治療がなされなくても数週~数か月の経過で症状は消失して治癒します。しかし、免疫力が低下している人、例えば糖尿病・悪性腫瘍、の患者さんや病中病後の人は血管腫になる場合もあるので注意が必要です。また、一般の人も抗生物質を投与することで、治癒が早まりますから、早めに医療機関を受診すべきです。この際には猫からの受傷の情報を伝えるべきです。
○予防
ペットにも人にもワクチンはありません。しかし、野良猫を不用意に触らない。飼い猫は去勢・避妊をして室内飼いをする。猫への感染を媒介するノミの駆除・予防を確実に行う。これらの事で人や猫への感染機会を減らすことができます。