カエルを守ろう!-国際カエル年とカエルツボカビ症-

2008年8月25日

○「国際カエル年」とは

両生類を絶滅の危機から救おうと、2006年、国際自然保護連合(IUCN)や世界動物園水族館協会(WAZA)が中心となり、「両生類の箱舟」(Amphibian Ark)プロジェクトが発足しました。絶滅に瀕するカエルを安全な他国へ移動させ、人工管理下で繁殖保全を行うのが「両生類の箱舟」プロジェクト。この「両生類の箱舟」プロジェクトが2008年に推進する世界的キャンペーン、それが「国際カエル年」です。

国際カエル年活動宣言

両生類は今、約半数の種に個体数の減少が見られ、その多くが絶滅の危機に直面しているといわれています。その原因については、まだ十分な調査や研究が進んでいませんが、地球温暖化による気候変動や、開発による生息地の急変が影響していることも事実です。さらに、オーストラリアやパナマでは、ツボカビという菌類がカエルに壊滅的な影響を与えています。日本でもツボカビに感染したカエルがすでに発見されています。今のところ、日本でカエルツボカビ症の爆発的な感染拡大の兆候はありませんが、決して楽観視することはできません。

 

○カエルツボカビ症とは

この病気の存在が世界中の研究者に知られることになったのは1998年前後から中南米やオーストラリなどを中心に世界各地で両生類の減少、絶滅が起こってきたことから調査が行われ、その原因菌として考えられたためです。
それ以前にも世界的な両生類の減少は知られていましたが、環境破壊や汚染(酸性雨や化学物質の流出)、地球温暖化などが主な原因と考えられていました。しかし、詳しく調べてみると、おおよそ人間活動の影響を受けにくいような地域(自然保護区など)や奥地でも両生類の減少が起きており、原因を探ったところこのカエルツボカビ症ということが判明しました。

カエルツボカビ症は外観的な症状はなく死にいたってしまいます。そのため野生の場合、集団で外傷のない死体が有る場合、この病気の可能性があります。

カエルツボカビに感染した両生類(カエルやサンショウウオなど)は治療を行わない場合には致死率が90%以上ともいわれています。中米のパナマでは、カエルツボカビが侵入してから、わずか2カ月で一部地域のカエル個体群が全滅したといわれています。アメリカでも、アリゾナ州のタラフマラカエルがカエルツボカビによって死に絶えた例などが報告されています。

中米でのカエルツボカビの猛威が有名であるために、熱帯特有の病気であるかのようなイメージもありますが、実は発育の好適温度はおよそ17〜23℃とされています。その生態からすると日本にもひとたびカエルツボカビが侵入すれば、貴重な多くの固有両生類を失うことは必至と考えられます。

 

○日本での現状と対策

2006年12月、日本で初めて飼育中のカエルでカエルツボカビ症が確認されています。それ以後カエルツボカビ症と診断された事例は100例近くに及んでいます。
日本固有の野生のカエルの調査でも一部に陽性反応は出ていますが、幸いにこれまで野生下での大量死、不審死や個体数の減少などは確認されていません。しかし、実験的にツボカビを感染させれば、日本固有のカエルでも一部のカエルでは死亡にまで至ることが証明されています。

国内でのカエルツボカビ症の蔓延を防ぐためには「海外からのカエルツボカビの侵入を防ぐ」、「飼育下の両生類が持っているカエルツボカビを野外に流出させない」、在来種であっても、「不用意なカエルの移動はしない」といった対策が必要と考えられています。

 

WWF「カエルツボカビ症について」

爬虫類両生類の臨床と病理のための研究会「ツボカビ症緊急事態宣言」

環境省「カエルツボカビ情報」

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