あなたの愛犬が歯や歯ぐきの病気になっていないか、簡易チェックしてみましょう。下に挙げた項目のなかで愛犬に当てはまるものがあれば、何かしらの歯や歯ぐきの病気になっている可能性があります。その場合は、早めに獣医さんに診てもらうとよいでしょう。
*以下には、犬が歯や歯ぐきの病気になったときの代表的な症状を挙げています。ただし、これらの症状が歯や歯ぐきの病気になった犬に必ず見られるわけではありません。
*愛犬の口の開け方について。
(歯や歯ぐきにトラブルがあると、口を開けようとしても嫌がったり噛みついたりしますので、以下の方法を参考にしてください。)
① まず、優しく声をかけながら顔をなでます。
② 次に顎の下に軽く手を添えて、鼻の上や唇をなでてみます。
③ それが出来たら左右の上唇をめくりあげたり歯に触ってみます。
④ 最後に、一方の手の親指と中指で頭部側から前方の臼歯の部位を支えて、他方の手の人差し指を下顎切歯に置いて下顎を腹側に下げると口が開きます。(うまくいかない場合は、①~③を根気よく繰り返してください。)
チェックA.口の中について
□生後7ヶ月を過ぎても乳歯が残っている。
→乳歯残存(注1)の疑い。
□歯が折れたり、欠けて見える。
→歯の破折(注2)、
咬耗(注3)、
エナメル質形成不全(注4)の疑い。
□歯が黄色い、または茶色い。
→歯周病(注5)の疑い。
□歯に何か付着している。
→歯周病(注5)の疑い。
□歯ぐきが腫れたり、出血している。
→歯周病(注5)、
口腔内腫瘍(注6)などの疑い。
□ひどい口臭がする。
→歯周病(注5)、
口腔内腫瘍(注6)、
虫歯(注7)などの疑い。
チェックB.食べ方について
□以前より食事に時間がかかるようになった。
□顔を傾けて食べるようになった。
□フードや水をよくこぼすようになった。
□片方の歯だけで噛んでいることが多い。
□食事中に奇声を発することがある。
→上記に一つ以上あてはまるものがあれば、
様々な歯や歯ぐきなどの病気の疑い。
チェックC.しぐさについて
□顔を触られるのを嫌がるようになった。
□前足で口をよくぬぐう。
→上記に一つ以上あてはまるものがあれば、
様々な歯や歯ぐきなどの病気の疑い。
チェックD.その他
□頬や目の下が腫れている。
□目の下に傷がある。
→上記に一つ以上あてはまるものがあれば、
歯の破折(注2)、
歯周病(注5)、
口腔内腫瘍(注6)、
虫歯(注7)、
根尖周囲病巣(注8)の疑い。
歯や歯ぐきの病気というと、なんとなく軽視しがちですが、それらの病気になった犬は、飼い主さんの想像以上に苦しく、場合によっては心臓病や腎臓病などの全身疾患を招くこともあります。たかが歯や歯ぐきの病気とあなどらず、早期発見につとめ愛犬を病気から守りましょう。
注1.乳歯残存とは・・・
本来犬は、生後7ヶ月くらいまでに乳歯が抜け、永久歯が生えてきます。ところがこの病気の犬は 乳歯が抜けず、永久歯とともに生えている状態になっています。このままにしておくと歯並びが悪くなり、さらに歯垢(口の中の細菌のかたまり)や歯石(歯垢が石灰化したもの)が付き易くなる原因にもなります。
注2.歯の破折とは・・・
かたいものを噛んだことや交通事故などが原因で、歯が折れてしまった状態のことです。犬の歯の場合、歯の先が少し欠けただけに見えても神経が露出していて、そこに細菌が入って炎症を起こすこともあるので注意が必要です。
注3.咬耗とは…
歯の破折と違って、徐々に歯がすり減っていくことです。かたいおもちゃやロープ、ケージの枠などを長時間噛み続けることが原因となります。ひどい場合は、すり減りすぎて神経が露出してしまうこともあります。
注4.エナメル質形成不全とは・・・
歯の表面のエナメル質が正常につくられず、歯が折れ易くなったり、知覚過敏になって冷たい水がしみる病気です。生後数ヶ月の子犬の頃に、ウイルス性の病気や重度の消化器病などに罹ったことのある犬がなり易いと言われています。
注5.歯周病とは・・・
歯と歯ぐきのすき間に歯垢や歯石がたまり、歯ぐきや顎の骨が炎症を起こす病気です。放っておくと歯を支えている顎の骨が溶けて歯がグラついたり、抜けてしまうこともあります。さらに重症化すると全身に細菌が回り、他の臓器に疾患が見られるケースもあります。
注6.口腔内腫瘍とは・・・
歯ぐきや舌、頬の裏などに腫瘍ができる病気です。良性のものもありますが、悪性のものもあります。悪性の場合、進行が速くて気づいた時には他の部位に転移していることもあるので、早期発見が重要です。
注7.虫歯とは・・・
まれですが、虫歯になる犬がいます。歯垢の中の細菌によって酸がつくられ、その酸によって歯を溶かすことが原因です。初期には目立った症状は見られませんが、進行すると歯が茶色や黒色に変色したり、神経が露出することもあります。
注8.根尖周囲病巣とは・・・
歯の中心の歯髄に炎症が生じてさらに進行し、病変が根尖部(歯の根っこの部分)に広がることです。特に老犬の上顎第4前臼歯に多くみられます。