フグはとてもおいしく食べられている魅力的な食品ですが、皆さんご存じのとおり、テトロドトキシンという猛毒を持っており、正しくフグを鑑別・調理しないと死に至ることもある危険な食べ物でもあります。
そんな危険性も持ち合わせているフグは、安全性を確保するために免許制度などいろいろな決まりが設けられています。
今回は、そんなフグの試験や取扱いについてご紹介します。
○ 関係する法律、条例
すべての飲食物は、食品衛生法により提供・販売、その取扱方法などが規制の対象となっており、フグも例外ではありません。
しかし、猛毒を持っているフグに関しては「埼玉県ふぐの取扱い等に関する条例」によりさらに安全性の確保が図られています。
・食品衛生法
例)食品の提供・販売等に対する許可・届出
有害な食品の販売等の禁止
食品を取り扱う施設の基準 など
・埼玉県ふぐの取扱い等に関する条例
例)ふぐ調理師の免許制度
ふぐ除毒施設の専任ふぐ調理師の設置
ふぐ販売先の制限 など
○ ふぐ調理師試験
ふぐを除毒して販売・提供するにはふぐ調理師免許が必要です。
国家資格ではなく、各都道府県が設けている制度なので、埼玉県でふぐを除毒して販売等するためには埼玉県の免許が必要です。
この免許を取得するための試験が「ふぐ調理師試験」です。試験は学科と実技が行われ、ふぐを衛生的に除毒するための知識・技術を有すると認められた人が免許を取得できます。
実はこのふぐ調理師試験、令和5年度から少し内容が変わります。大きい変更内容として「受験資格」があります。
令和4年度までは、調理師免許を持っておりふぐ調理師の下でふぐの調理に2年以上従事していた方だけが受験できましたが、令和5年度からはどなたでも受験可能となります。
参考:令和4年度埼玉県ふぐ調理師試験ホームページ
※令和4年度試験はすでに終了しています。
令和5年度試験は日程や方法等が決定し次第ホームページにアップします。
○ 食べられるフグ、食べられないフグ
フグといえばトラフグを想像する方が多いのではないでしょうか?
トラフグは筋肉、皮、精巣を食べることができますが残りの部位は食べられません。特に肝臓や卵巣は危険性が高いため注意が必要です。
しかし、フグといってもトラフグだけではありません。その種類は多く、トラフグと同じように筋肉などを食べられるものもありますが、全身毒があって食べられないものもあるほか、獲れる海域によって食べられる部位が変わるものもあります。
当然、ふぐ調理師は食べられるフグ、食べられないフグを把握している必要があります。
○ フグを釣ったら、もらったら
釣り人が釣ったフグを調理・喫食して食中毒になってしまうような事故は毎年のように発生しています。
先ほどお話ししたとおり、フグの種類によっても毒性が変わるほか、異なる種類のふぐのかけ合わせである「交雑種」も存在することから、素人が判別するのは容易ではありません。
自分で釣ったフグや知人から譲り受けたフグの素人調理は絶対にやめましょう。
参考:厚生労働省ホームページ「安全なフグを提供しましょう」