あ~っ、飲んじゃった!

2018年3月27日


 動物たちは、おもちゃ、布、紐、ビニール、木、石など本当にいろいろな物を飲み込んでしまいます。食べられる物であっても大きな塊のまま飲み込んだり、消化しきれない物を飲み込んだりして大事になる事があります。人間の感覚では飲み込めなさそうな大きさの物でも意外に飲み込んでしまいますので注意が必要です。

 誤飲してしまっても吐き出して事なきを得たり、一時的に下痢をしたくらいで済めば良いのですが、腸を詰まらせたりして手術が必要な事態になることがあります。また、薬剤などの中毒を起こす物を飲み込んでしまうこともあり、状況によっては死亡の危険もあり怖いものなのです。

  食いしん坊で「チャンスがあればいつでも食べたい!」という子は特に注意が必要で、飼主さんが気付き取り上げようとしたら、取られてなるものかと急いで飲み込んでしまうケースや、散歩中に草の陰で何かクチャクチャしてゴックンというケースはよく遭遇します。

  誤飲した、もしくは誤飲したかもしれないという事が発覚した時、飼主さんは動物病院を受診したほうが良いのか様子を見るべきか悩まれると思いますが、誤飲した物やその大きさにもより判断が分かれますので、自己判断せずに出来るだけ早く動物病院を受診し獣医師の判断を仰ぐ事をお勧めします。その時に、何を飲み込んだのか、大きさ、量、飲み込んでからどのくらいの時間が経っているかがわかれば対処がスムーズに行えますので獣医師に伝えて下さい。

  誤飲した物が胃の中にあり、安全に吐き出させられそうな物の場合は催吐剤を使って嘔吐させ排出を試みたり、内視鏡を使って摘出する方法が一般的です。これで摘出できないケースや既に腸閉塞を起こしていたり自然排出が見込めないケースでは開腹手術(胃切開術、腸切開術、場合によっては腸切除術)により摘出する方法になります。

 実際に私が経験したもので例をいくつか挙げてみようと思います。

 ケース1:トウモロコシの芯

 飼主さんが茹でたトウモロコシを食べていたが、うっかり芯ごと落としてしまったところあっという間に愛犬が飲み込んでしまった。→開腹手術にて摘出

飼主さんは茹でてあった為に消化されると思い経過を見ていたそうですが、日を追うごとに状態が悪化し来院。大きな芯をほぼまる飲みでしたので胃切開術により腐敗した芯をほぼそのままの状態で摘出しました。 植物性の繊維は基本的に消化できませんので大きなトウモロコシの芯はアウトです。

 ケース2:焼き鳥

 飼主さんが晩酌中、トイレに行って戻ってきたところ、こたつの上に置いてあった焼き鳥3本が無くなっていた。当初は子供が食べたのだろうと思っていたが、翌日の家族間の会話で愛犬が食べてしまったのではという疑惑が発生し来院。→開腹手術にて摘出

鶏肉だけならば問題ありませんでしたが竹串も一緒に飲み込んでおり串が消化管を突き破る危険があり、緊急で手術となりました。竹串も消化されませんのでアウトです。

 ケース3:梅、桃などの種

 果物を与える飼主さんは意外と多い様で、まるごと桃を渡したら種まで食べてしまったというケースがありました。→開腹手術にて摘出

種を細かくかみ砕いていれば何とかなったのかもしれませんがまる飲みでしたので腸を詰まらせていました。大きな種も消化できませんのでアウトです。

 ケース4:ティッシュペーパーなどの紙

 ティッシュペーパーなどを食べてしまうケースも多いようですが、ほとんどが便として排出され意外と問題にはならない様です。場合によっては消化管を詰まらせる可能性もありますので、やはり食べさせない方が良いでしょう。

  ここで紹介したものはほんの一部の例に過ぎません。誤飲の予防策としては人間が注意するしかありません。危険性のあるものは口にさせない!もし口に入れてしまったら「出して」や「ちょうだい」で飲み込む前に口から出させる事が出来れば難を逃れる事が出来るでしょう。

  また、飼主さんが気付かないうちに危険なものを誤飲しているケースも多く、突然の食欲不振や嘔吐、腹痛などの症状がみられた場合、誤飲の可能性も頭に入れておく必要があるかもしれません。

   
    飲み込むのはほんの一瞬です、お気を付け下さい。

 

 

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