昔、家で飼っている猫は外出することは一般的でした。しかし、最近は住宅事情などもあり、室内だけでの生活をしている猫が増えています。
今回は猫が外出した時に、どんな危険があるのかをお話しをさせていただき、室内で飼うためのアドバイスもご紹介したいと思います。
一般的に外に出かける猫よりも室内飼育の猫の方が長生きと言われています。それは外出時の猫の行動と大きく関係があります。何が猫の身に起こるのでしょうか?
外出時の危険の第一には交通事故があげられます。猫はいきなり車道に飛び出したり、途中で振り返って止まったりします。そのため、多くの猫が交通事故にあい、骨折や半身不随、最悪の場合は命を失うこともあります。
また、外出する猫では他の猫とのけんかによる怪我もよくみられます。傷口が化膿することで体のあちこちが腫れ、さらにけんかの相手から病気をもらってしまうこともあります。
各種感染症も外出によって感染する機会が増えてしまいます。ネコエイズウィルスや猫白血病ウィルス、また現在はワクチンで予防できないネコ伝染性腹膜炎ウィルスなど、様々なウィルスに感染してしまいます。他にも細菌感染、ノミや回虫などの寄生虫感染もおこります。時には回虫のように人にも感染してしまう病原体を持ち込んでしまう可能性もあります。
また、飼い主の目がとどかない戸外では何を食べるかわかりません。中毒などの危険性もあります。
一方、外出する猫たちは野生動物へも影響を与えます。野鳥や野生動物が猫に捕まって傷を負い傷病野生鳥獣保護診療施設などに保護されることが多くあります。ちょっと特殊な例ですが、対馬や西表島では特別天然記念物の山猫に飼い猫の病気が感染して、深刻な問題となっています。人に保護され、愛される猫が実は野生動物にとって脅威なのです。
これらのことを考えると猫の室内飼育は、猫自身や自然環境にとって大切なことなのです。
家の中で生活させるためには、まず小さい頃から室内で飼育すること、また、避妊去勢をして発情期に出かけたくなる衝動を抑えておくことも大切です。
うっかり外に出てしまわないように、家のドアなどの開け閉めについても家族全員でルールを決めましょう。また外を知らない猫が、突然外に出て迷子になってしまったときのことを考えて、迷子札やマイクロチップをつけるのもいいでしょう。
現在、外に出ている猫は、まず動物病院でウィルスをはじめ寄生虫などをもっていないかの検査を受け、予防できる病気はワクチンを打ちましょう。そして将来的には室内で生活できる習慣をつけましょう。
猫には本来、餌を探し、狩りをする本能があります。戸外で満たされていたこれらの欲求を満たすためには、おもちゃでじゃらして遊ばせたり、キャットフードを隠して見つけさせたりするゲームをしたりすると良いとされています。また猫は外にある高い場所から見下ろせる場所が好きなので、家の中にもそういう場所を作っておくと室内飼育のストレスを減らすことができます。
あなたの猫が幸せで健康な生活を送るために、是非、室内飼育をお勧めします。